ゲキマブーンちゃんプロットでとりあえず書いた

  

ので、それを公開した状態でゲキマブーンチャンとあれこれ言い合う配信をするよ。

https://twitcasting.tv/naoya_sibata/broadcaster

たぶん配信URLはこれ↑で、やるのは本日1/7の21時過ぎ?くらいから。

 

もらったプロットも書いた本文も晒しておくぜ。

どんな話し合いになることやら

 

 

 

  
 
 
 
1
  
 大学生活最後の冬休みを迎えた俺たちは高速道路の上にいた。
 
( ^ω^)「ウヒョ~ 僕らは自由だお! ここで窓なんか開けちゃったりして!? ウィンウィンウィン! ウィンウィン!」 スルスル
 
('A`)「カーズ様がリサリサ先生の脚を撫でる音!」
 
(´・ω・`)「うひゃあ凄い風。そういやカーズ様のあのウィンウィン、ギターの音色を表現してるらしいよ」
 
('A`)「そうなん? ただ撫でまわしてるだけかと思ってたわ。つーか寒ぃわブーン、窓閉めろよな」
 
( ^ω^)「おっぱいおっぱい! ほれほれおっぱい! 60キロでおっぱいの感触になるなら120キロだと巨乳だお!?
 
('A`)「そうはならんだろ。いやマジ寒ぃ」
 
(´・ω・`)「あ、こいつウィンドウロックしてやがる」
 
( ^ω^)「ぶははは! 寒い~! 寒いお~!」
 
('A`)「テンションが変な方にいってやがるな・・ マジうぜぇ~」
 
 
2
  
(´・ω・`)「まあでもそれも仕方がないというもの」
 
('A`)「そうなん?」
 
(´・ω・`)「内藤は僕らの中でも特に卒研ヤバかったからね。就活も最近までうまくいってなかったし、ツンとは別れかけてたし」
 
('A`)「そうなん!?」
 
(´・ω・`)「それに困難は終わっていない。国試模試は全然合格見込み点に達してないことだし、何よりまだ取らなきゃいけない単位が残っているだろ」
 
('A`)「とんだ崖っぷち野郎じゃねえか。こんなことしてる場合なのか?」
 
( ;ω;)「やめろやめろぅお! 今は楽しい旅行の最中だお!」
 
(´・ω・`)「やめろと言うならやめますよ。僕には旅行を楽しむ余裕があるからね」
 
('A`)「さすがはショボン様。成績優秀! ラ・サール出身! めいも~ん」
 
(´・ω・`)「どうもどうも」
 
('A`)「函館の方でしたっけ?」
 
(´・ω・`)「鹿児島じゃ。ぶち殺すぞこんゴミクズが」
 
 
3
  
('A`)「これは失礼。鹿児島のネパールでしたか」
 
(´・ω・`)「ラサールってさっき言えてただろ。鹿児島のネパールって、なんで県の中に国があんだよ」
 
('A`)「ネパールではない。・・ザイール?」
 
(´・ω・`)「聞いたことはある国名!? どこにあんだよ」
 
('A`)「鹿児島か、もしくはアフリカ」
 
(´・ω・`)「アフリカだな! アフリカ! ザイールね」
 
('A`)「旧ザイール、現在はコンゴ民主共和国
 
(´・ω・`)「コンゴ!? ザイール、今存在しねえんじゃねえか!」
 
('A`)「政治的な話はしません。ザイールではないとすると・・ バザール?」
 
(´・ω・`)「バザーね、はいはい。鹿児島のバザールは現象としてあり得はするね」
 
 
(´・ω・`)「・・それが言いたかっただけだろ」
 
('A`)「あのサル、バザール・デ・ゴザールは、なんとザイール出身」
 
(´・ω・`)「そうなの!?」
 
 
4
  
('A`)「設定上はね。しばらく見てないけどあのサル生きてんのかな?」
 
(´・ω・`)「実在してると思っているのか。想像力が半端ないな」
 
リンコーン
|::━◎┥『サガ ケンニ ハイリマシタ』
 
 
('A`)「お、県を超えたか。やっと佐賀か・・ 先は長いな」
 
(´・ω・`)「このナビの越県アナウンスを旅行中に何回聞くことになるんだろうね。帰る頃には愛着が湧いちゃってたりして」
 
('A`)「いやぁないな、今時こんな機会音声。美少女ボイスなら別だろうがよ」
 
(´・ω・`)「テラキモス」
 
('A`)「はっきり言うんじゃねえよ」
 
(´・ω・`) テラキモス
 
('A`)「雰囲気で伝えてくるんじゃねえよ。そっちの方が刺さるだろうが」
 
 
5
  
('A`)「んで、内藤くんはさっきから何を黙ってるんだ?」
 
(´・ω・`)「ほら、君の地元の佐賀県だよ、故郷に思いを馳せて胸がいっぱいなのかい」
 
( ;ω;) ・・・・
 
(;'A`)「うわ、よく見たらこいつ涙ぐんでやがる、危ねえちゃんと前見えてんのか!?」
 
(;´・ω・`)「スピードもなんかめちゃくちゃ出てないかいこれ!」
 
( ;ω;) ・・・・ グイーン
 
リンコーン
|::━◎┥『キュウナ カソクハ キケンデス ゴチュウイ クダサイ』
リンコーン
|::━◎┥『コノミチノ ホウテイソクドハ ヒャク キロデス』
 
 
(;'A`)「ナビから聞いたことないメッセージ出たぞ!?」
 
(;´・ω・`)「どうどう、内藤、落ち着いて。大丈夫だよ勉強は僕らとやってるし、単位が足りないといってもたった1コマ2単位じゃないか、先生もわざわざここから落としてきたりしないって」
 
( ^ω^)「・・ほんとかお?」 グイーン
 
(;'A`)「どうしてそこからさらに加速できるんだ!」
 
 
6
  
( ^ω^)「喜びを加速で表現してみたお」
 
('A`)「今度からは法に触れない形にしてくれ」
 
( ^ω^)「しかしこの加速のおかげで結構距離を稼いだお」
 
(´・ω・`)「ふむ、鳥栖ジャンクションが近づいてきたね。このまま鹿児島方面に向かっておくれ」
 
( ^ω^)「うい~ むっしゅ!」 グイーン
 
('A`)「だからこれ以上加速するなっての。開いた窓からの風圧が凄いことになってるぞ」
 
( ^ω^)「おっおっ、風にハンドルが取られるお~」
 
(´・ω・`)「・・高速道路での横転事故の何割かはこういうバカタレが原因なんだろうね」
 
('A`)「つ~か臭ぇ! 寒いし臭ぇ! なんだこれ!?」
 
(´・ω・`)「これは佐賀県特有の田舎臭さ・・ ではなく、畜産臭だね。ほら、あそこに家畜トラックが走っているだろ、おそらくあそこから漂ってきている」
 
('A`)「なるほど~。窓を閉めたい! が、閉まらない! くさい!」
 
 
7
  
( ^ω^)「まったく、うるさいやつだお・・ ほれ、これで臭いからは逃げられる筈だお」
 
(´・ω・`)「追い抜いたからね。どちらかというと窓を閉めて欲しいものだけど」
 
( ^ω^) ~♪
 
('A`)「お前も寒い筈じゃあないのか。・・しかし、今日は空がめちゃくちゃ広いな」
 
( ^ω^)「そうかお?」
 
('A`)「だって、なんか凄くねえ? 遠近感がうまく掴めないっつ~か、変な感じだ」
 
(´・ω・`)「雲も出てない快晴だからね。こうも一面開けた農地になってると高さの比較対象がないから、低いようにも高いようにも見えるんだろう。確かになんだか騙し絵みたいだ。じっと見てたら変な感じになる」
 
('A`)「なるほど。今日の空っていうか、佐賀の空が広いのか」
 
(´・ω・`)「ディス・イズ・ザ・ベリー田舎って感じだね」
 
('A`)「ややマイナーな英語表現! 俺もそのザ・ベリーの使い方は好きだぜ」
 
(´・ω・`)「文法オタクのドクオらしいことですね」
 
('A`)「なにおう。ラ・サールといっても函館ラサール出身のくせに」
 
(´・ω・`)「鹿児島だっつってんだろ百姓が」
 
 
8
  
('A`)「百姓!? なんだよその罵倒語! 佐賀を田舎と馬鹿にしてたけど、地主と小作人みたいな人間関係の中で育ってないと出てこないボキャブラリーなんじゃねえか? 田舎者はどっちだよ」
 
(´・ω・`)「ハァ? 僕は博多出身のシティ・ボーイだからね。九州出身でこれより都会度の高い出自は考えられないことだろう」
 
('A`)「生まれは博多でも中高の育ちは函館だろ、道産子!」
 
(´・ω・`)「馬鹿かな? 虚偽の履歴で攻められたところで何とも言いようがありませんが」
 
('A`)「百歩譲って鹿児島の方だとしても、鹿児島も田舎に違いねぇだろ」
 
(´・ω・`)「ハァ? 百歩譲られる意味がわからないのは置いといて、鹿児島は田舎じゃありませんが」
 
('A`)「そ~か? 家畜の臭いにピンとくるのは田舎育ちである証拠だと思ったけどな
 
(´・ω・`)「畜産業が発達してることと田舎ではないことは別に矛盾はしませんが。まったく発想が貧困ですな、お里が知れます」
 
('A`)「どうせあれだろ、軽トラがそこら中に走ってて、荷台が子供の遊び場とかになってんだろ。道交法守れやイモ野郎ども」
 
 
9
  
(´・ω・`)「やれやれ、これはため息吐いちゃうね。無知なドクオくんのために教えてあげると、軽トラの荷台に人を乗せるのは必ずしも違法になるとは限らないんだ。荷台に置いている荷物の監視のための最低限の人数なら、という注釈は付いてしまうが、道交法上も認められているのだよ。なお、この人員に対する年齢条件のようなものはない」
 
('A`)「めちゃ喋るやん。つ~か、そんなマイナーな法律にやけに詳しいこと自体が、日常的に軽トラと接している田舎者の証明じゃねえか」
 
(´ ゚ω゚ `)「ぐわぁ~」
 
('A`)「語るに落ちたな。・・ま、ショボンの鹿児島知識のおかげでこれから穴場的な豚肉スポットにあやかることができるわけだから、攻めるのはこのくらいにしておこうか。暇つぶしにもなったしな」
 
('A`)「しかし軽トラの荷台乗車って場合によっては合法なのか。これはひとつ勉強になったな」
 
('A`) ・・・・
 
('A`)「・・どうかしたんかブーン?」
 
( ^ω^)「いや」
 
( ^ω^)「さっきまた畜産トラックが新たに合流してきたんだけど、それがちょっと気になるんだお」
 
 
10
  
('A`)「どれどれ」
 
('A`) クッサ
 
('A`)「いやまぁ確かに先ほどと同じような家畜臭はするけどよ、そこまで気にするほどじゃないっていうか、気になるなら窓閉めろよいい加減寒いんだしよ、と思うところだけどな」
 
( ^ω^)「いや、そりゃあ家畜臭は漂ってくるけど、僕が言ってるのはそこじゃあないお」
 
( ^ω^)「ほらほら、よ~く見てみるお?」
 
('A`)「いや~、特に何も・・ って、ん?」
 
  ヘ⌒ヽフ⌒ヽフ⌒ヽフ       ヘ⌒ヽフ ⌒ヽフ ブーブー
 ( ・ω・)・ω・)ω・)ミセ*゚ー゚)リ( ・ω・)・ω・) ブーブー
 
(;'A`)「あれ? 見間違いじゃないよな?」
 
( ^ω^)「気になるお? あそこ、どう見ても女の子が家畜に紛れて乗せられているんだお」
 
(´・ω・`)「ふむ・・あれは豚だね。そして女子高生が乗っている」
 
('A`)「お、復活したか。しかし偉そうに言ったところであの家畜が豚なのは見ればわかr 何で女の子が女子高生ってわかるんだ!?」
 
 
11
  
(´・ω・`)「というと?」
 
('A`)「お前が今意外そうな顔をしてるのが俺には恐怖でしかないんだよ。変態ならせめて自覚的であれ」
 
(´・ω・`)「変態? あァ、どういう根拠であの女の子が女子高生だと僕が断定できるのかを聞きたいのかい?」
 
('A`)「怖いもの見たさだけどな」
 
(´・ω・`)「見たいのか聞きたいのかハッキリして欲しいものだね。やれやれ、こんなもの、見ればわかるだろというのがもっとも真実に近いところだけれど・・ ま、ひとつ解説を試みてみせようか」
 
('A`)「数学の難問を直感的に説く天才みたいな口ぶりをするんじゃねえよ
 
(´・ω・`)「まあ根拠は大きくふたつだね。すなわち、まずはあのトラックに書いてる会社名『したらば畜産』とナンバープレート、そして今僕らも進んでいる路線からして、あのトラックはしたらばあたりから鹿児島に向かっているのであろうことがわかる」
 
( ^ω^)「おっおっ、凄いお、名探偵の推理みたいだお~」
 
(´・ω・`)「ありがとう。地名ではなくたとえば人名由来である可能性や、他県にもしたらばって地名がある可能性は排除できないけれど、ほかの条件から考えるに、おそらくはこう考えるのが妥当じゃあないかな」
 
 
12
  
('A`)「それはいいんだよ。根拠のもうひとつは何だ?」
 
(´・ω・`)「簡単さ。九州にあのデザインと色合いの制服は、私立したらば学園高等部のものしかないからね」
 
('A`)「ッそれだよ! サラッと言ってんじゃねえよ何でそんなのわかんだよ」
 
(´・ω・`)「え・・ 普通自分の出身県の高校の制服くらい網羅していないかい?」
 
('A`)「網羅はしてねぇだろ。しかもお前今ちょい誤魔化ししてるけど、“九州に”って言ってたからな。九州中の女子高生の制服をなんで把握してんだよ」
 
(´・ω・`)「それはもう好きだからとしか言いようがないけど」
 
('A`)「だからピュアな視線を俺に向けてくるんじゃねえよ。その堂々とした態度を見てると俺の中の常識がぐにゃ~っと歪んでいく気がするんだよ」
 
(´・ω・`)「自分の常識は他人の非常識、ってね」
 
('A`)「ってね、じゃねえ! ウオオ!」
 
(´・ω・`)「やめなよドクオ、頭を掻きむしるのはよくないよ」
 
('A`)「だめだこいつ完全にアイデンティティが確立してやがる」
 
 
13
  
( ^ω^)「いやしかし、あれって、何というか・・ 大丈夫なのかお?」
 
('A`)「そうだ、こんなわけのわからない問答をしている場合じゃない。あれって屠殺場行きか? 一緒にやられちゃうんじゃねえのかな」
 
(´・ω・`)「屠畜場ね。さすがに豚と一緒に加工されることはないだろうけど・・ それより道中豚に押しつぶされたりしそうだね」
 
( ^ω^)「怖お」
 
(´・ω・`)「豚はそれぞれ大体100-120キロくらいあるからね。ちょっと揺れたら小ぶりなマツコデラックスが体当たりしてくるようなものだよ、普通の人間には耐えられない」
 
( ^ω^)「小ぶりなマツコデラックスとは」
 
('A`)「・・ん、あの娘、なんかやってんな。何してんだ?」
 
  ヘ⌒ヽフ⌒ヽフ⌒ヽフ    パシャ ヘ⌒ヽフ ⌒ヽフ
 ( ・ω・)・ω・)ω・)ミセ*゚ー゚)リ□o ・ω・)・ω・)
 
('A`)「あれスマホか!?」
 
( ^ω^)「どうやら自撮りしているようだお」
 
(´・ω・`)「なんとも余裕のあることだね。・・ひょっとしたら、バイトテロ的なことなのかもね」
 
 
14
  
(;'A`)「バイトテロ!? 世も末だな」
 
( ^ω^)「畜産トラック案件は初耳だお」
 
(´・ω・`)「僕もだ。業務用ガチ冷凍庫に入っちゃうのとかとはまた違った種類の体の張りようだね、最近だとこのくらいしないと注目されないのかな」
 
('A`)「しかし冬だぞ。高速道路の風にさらされて、凍え死なねぇのかあれ」
 
(´・ω・`)「どうだろう? 豚の体温はヒトより概ね高い筈で、あれだけ密だとずっと“おしくらまんじゅう”しているような状態だからね、むしろ暑くてもおかしくないかも」
 
('A`)「確かにコートも着てないわけだもんな」
 
(´・ω・`)「おかげで女子高生であることが判明しました」
 
('A`)「うるせぇ。あの時の衝撃を思い出させるんじゃねえよ」
 
(´・ω・`)「うふふ」
 
( ^ω^)「しかしバイトテロ的なものだとしたら、どこかのSNSにでもうpってるのかお?」
 
(´・ω・`)「ご名答。ちょうど今見つけたところだ、どうやらTwitterに投稿してるね」
 
 
15
  
('A`)「マジかよ! 見せてみ」
 
(´・ω・`)「ちょっと、ひとのTwitter画面を気軽に覗こうとしないでくれないかい? 検索ワードを教えるからさ」
 
('A`)「えぇ・・ 何その反応。どんな裏アカ持ってんだよお前」
 
(´・ω・`)「うふふ。詮索はご・勘・弁☆」
 
('A`)「ただただ怖いんだけど。女子高生 in 豚よりこいつがヤバい」
 
( ^ω^)「あ、また自撮りしてスマホいじったお」
 
(´・ω・`)「お、それじゃあ検索チャンスだね。この娘、フォロワー数1ケタの糞アカウントだから、ピンポイントで最新表示しないと素人に探し当てることは不可能なんだよ」
 
('A`)「お前が何の玄人なのかは置いといて・・ ん、これか?」
 
(´・ω・`)「お、それそれ。ドクオくん正解」
 
('A`)「ひとのは気軽に覗き込むんだ?」
 
(´・ω・`)「えへへ」
 
('A`)「これがまったく可愛くねぇんだよなあ!」
 
 
16
  
( ^ω^)「お~ん! 僕だけ画面が見れないお! どんな感じか教えてくれお」
 
('A`)「ええとな、まあ想像通りの豚にまみれた自撮り画像だ。そこにこれでもかってくらいハッシュタグを付けている。でも女子ならこんな感じでもおかしくないのかな? 内容はどう考えてもおかしいけどな」
 
( ^ω^)「おかしい? ハッシュタグがお? 何それ、ちょっと読み上げていってくれお」
 
(´・ω・`)「はいよ、それじゃあ頭から。#豚、#動物、#かわいい、#自撮り、#女子高生」
 
('A`)「このあたりはまあわかるんだがな」
 
(´・ω・`)「#オシャレさんと繋がりたい」
 
('A`)「なんで畜産トラックをオシャレと思えるんだ!? と」
 
(´・ω・`)「#飯テロ」
 
('A`)「まだ原材料の段階なんだよ・・!」
 
(´・ω・`)「#ウマ娘
 
('A`)「いや豚だろうがっていう(笑)」
 
(´・ω・`)「ざっとこんな感じだね」
 
 
17
  
( ^ω^)「お~ん。香ばしいお」
 
(´・ω・`)「他には#拡散希望なんてのもある。自分から広げていくスタイル!」
 
('A`)「#バイトテロがあってもおかしくないな。いやあ何とも凄い話だ」
 
( ^ω^)「それで、ご希望通り拡散されていってるのかお?」
 
(´・ω・`)「バズり確定って感じではないね。ま、このフォロワー数ならむべなるかなといったところかな」
 
( ^ω^)「ショボンは拡散してやるのかお?」
 
(´・ω・`)「ご希望らしいからね。ま、僕の1万フォロワーアカウントで晒してやれば多少はこんがり焼けるだろうよ」
 
('A`)「えぇ・・ 炎上に加担するのかよ。あの娘も悪趣味だが、お前の方も大概だな」
 
(´・ω・`)「火事と喧嘩はTwitterの華、ってね。安易に批判するものではないよ」
 
('A`)「いや~、俺はちょっと勘弁だな」
 
(´・ω・`)「そうかな? 荷台に人が乗るのを総じて違法だと思っていたように、どこにどういう思い違いがあるかはわからないものだよ」
 
('A`)「ハァ? 何言ってんだお前」
 
 
18
  
(´・ω・`)「僕も鹿児島で過ごした6年間でそれなりに畜産業を身近に感じてはいたけれど、実際に携わったことがあるわけじゃあないからね。ひょっとしたら畜産トラックに人が乗るのはそれほど驚くべきことではないのかもしれない」
 
('A`)「うそん」
 
(´・ω・`)「なんせ田舎では軽トラに人が乗っててもおかしくないんだろう? 違法だと思ってる人の方がひょっとしたら多いかもしれないけれど、あれは場合によってはそうではないし、あるいはこれもそうなのかもしれない」
 
(´・ω・`)「すなわち、豚トラックに女子高生が乗っていること自体に違法性はない。それどころか田舎では意外とよく見る光景なのかもね」
 
('A`)「そんなわけないだろ」
 
(´・ω・`)「だから僕がこのアホらしいツイートをご希望通りに拡散したところで彼女が不利益を被ることはないのさ! むしろ感謝される筈!?」
 
('A`)「そんなわけないだろ! 燃料投下を正当化するんじゃねえ」
 
(´^ω^`)「うひゃひゃ楽しいなあ~! この、次の自分の一手で誰かがどうにかなるかもしれないんじゃないかというドキドキ感は、正直何事にも代えがたいよね!!」
 
('A`)「ついったーを楽しく使いこなしてやがる・・ 悪い方向に」
 
 
19
  
(´^ω^`)「あ、それ♪ リツイート! この瞬間がたまらないんだよ僕はさ」
 
('A`)「やっちまいやがった・・」
 
(´・ω・`)「フゥ~ さて、この楽しみの醍醐味は何だと思う?」
 
('A`)「知らねえよ。燃え上がっていく様を眺めることか?」
 
(´・ω・`)「ちがうね」
 
(´・ω・`)「それもまあ面白くはあるんだけども、僕くらいの通になるとやっぱりやるのはズバリこれだね。放置さ!
 
('A`)「放置?」
 
(´・ω・`)「そう放置! リツイートも引用なしのシンプルなものに留めて、その後も少なくともしばらくの間は見ないようにする。ただ僕のフォロワーの目に触れさせて、それ以上は何もしないんだ。一体彼女がこの後どういう経過を辿るのか? これは見ものだよ!」
 
('A`)「見ないのに見ものなのか、ややこしいな」
 
( ^ω^)「なんでそんなことするんだお?」
 
 
20
  
(´・ω・`)「それはもちろん、待ってる間に色々な運命に思いを馳せるためさ」
 
(´・ω・`)「彼女はこれがきっかけで炎上するかもしれないし、あるいは意外と上手く立ち回って結果バズるかもしれない。もしくは中途半端な末路を辿るか、僕なんかの想像では及びもしないようなことになってしまうのか・・」
 
(´・ω・`)「色々いろいろ頭に浮かべて、良い頃合いになったら結果を見るのさ。それまでの僕の頭の中には色んな結果の彼女が平行して存在している。うふふ。シュレディンガーの炎上とでも呼べばいいかな?」
 
('A`)「炎上って言っちゃってんじゃねぇか」
 
(´^ω^`)「おっと僕としたことが。とんだバイアスがかかっているね、こわいこわい」
 
('A`)「怖いのはお前の頭の中だよ・・」
 
( ^ω^)「正直僕もドン引きだお」
 
(´・ω・`)「うふふ。晒す規模、すなわち晒しアカウントのフォロワー数が多すぎると一瞬で燃え尽きてしまうから、そこそこじっくり、美味しく焼けそうな影響力のものを用意しておくことも肝要さ。この案件に関してはもう少し勢いのあるアカウントを使ってもよかったと思うけどもね」
 
('A`)「なんでだよ。いい加減にしろ」
 
(´^ω^`)「どうもありがとうございました」
 
 
21
  
 この豚なう女子高生関連の話題をそのように締めくくった俺は、ブーンに依頼して豚トラックを追い抜いてもらうことにした。
 
 家畜臭かったからだ。それに、かなりの確率で自分のアカウントが叩かれ炎上していくのであろう女の子の様子をそのまま見ていたくはなかった。
 
 ショボンは逆に「こんなの滅多にない機会だ」と、自分の行為の影響が誰かに及んでいく様を肉眼で見届けたいようだったけれど、ブーンは俺の言葉に従ってアクセルを踏みながら車線を変更してくれた。
 
 地平線が360度見渡せてもおかしくなさそうな、ただただ広い空の下、俺たちの乗用車は女子高生の豚トラックをあっさりと追い抜いた。進行方向に家畜の群れがない高速道路はとても快適で、視界が広く、田舎の空気は心なしか旨い気がした。
 
 しばらくそのまま走っていたが、ふと会話が途切れて3人とも思い思いに過ごすようになった時間帯に、俺は何の気なしにTwitterを開いた。そこには豚に囲まれた女子高生のツイートが先ほど見たままに残っていた。
 
 驚いたのは、彼女のアカウントが炎上していたからではなかった。というか炎上はしていなかった。おびただしい数のリプライとリツイートに一時はてっきりそう思ったのだが、よくよく内容を見ると、炎上ではなく彼女のツイートはただ拡散されていただけだった。かつての彼女の希望通りに。
 
 何のために?
 
 不運なアクシデントで畜産トラックに豚たちと共に収納され、運搬されるようになった女子高生の必死の訴えに反応し、助けるためだ。
 
 一体何がどうなってるのか、わけがわからなかった僕がようやくその事実を把握できたのは、一連の出来事についてまとめたネットニュースを読んだ時のことだった。
 
 
22
  
 そもそも何故あの女の子が豚にまぎれて畜産トラックに乗せられることになったのか、その経緯はネットニュースに載っていなかった。
 
 そもそも彼女が話してないのか、載せられないような内容なのか、もしくはそのニュースのライターが理解できなかったのか、といったあたりがその原因なのだろう。そんなことより彼女がいかにして豚にまみれながらSOSを発し、それがキャッチされ、ついに救出されることになったのか。その方が内容として面白いと判断されただけかもしれない。
 
 ほとんどROM専のSNSアカウントしか持たなかった彼女は、それで助けを呼ぼうにも、当初フォロワーがほとんどいなかったのだ。
 
 その晩、ショボン由来の穴場的豚しゃぶスポットで食事とお酒を楽しみながら、僕はこの一件について切り出してみた。
 
('A`)「・・ショボンはさ」
 
(´・ω・`)「なんだい?」
 
('A`)「初めからわかってたのか?」
 
(´・ω・`)「何がさ」
 
('A`)「あの女子高生が、バイトテロなんかじゃなくて、純粋に助けを求めてるのかもしれないってことが」
 
(´・ω・`)「まさか」
 
 短い言葉で肩をすくめ、豚肉を口に運ぶ合間にショボンは言った。
 
 
23
  
(´・ω・`)「わかったのは・・ そうだな、Twitterアカウントを突き止め、あの自撮りツイートから彼女のこれまでの発言をすべて遡ったあたりだろうね」
 
('A`)「発言の遡り。そんなことするのか」
 
(´・ω・`)「ヲチには当然の行動だよ。それに彼女のあのツイート、バイトテロもどきを企てるにはハッシュタグを付けたり拡散希望たりと不自然だった。普通ああいった行動は仲間内でひっそりとやるものだろ、できてるかどうかは別にして」
 
(´・ω・`)「遡ると、最初の何ツイートかは純粋に助けを求めていた。でも数少ないフォロワーが運よく見てはくれなかったみたいだね、彼女は次第に自分の知ってる誰かの目に付きそうなハッシュタグ女子であることの匂わせ画像、最終的には制服姿でガッツリ写った自撮り画像なんかを上げるようになっていた。なかなか趣のある流れだったね」
 
('A`)「・・じゃあ、あのリツイートは」
 
(´・ω・`)「拡散希望していたからね、僕は拡散してやった。多少炎上するかもしれないけど、たくさんの人目に触れれば気づいて助けてくれるひともいるだろうし、最終的には彼女のためになるだろうと思ってね」
 
( ^ω^)「それじゃあ炎上に加担しようと思ってたわけじゃあないんだお?」
 
(´・ω・`)「そこは半々」
 
( ^ω^)「ハンハン!?」
 
 
24
  
(´・ω・`)「だって、助けを求めてるにしても不自然だもん。普通LINEや電話で知り合いあたりに連絡するか、警察とかに電話かけるでしょ。それがSNSって。それこそ新手の釣りかもしれないとは思ったね」
 
(´・ω・`)「だから諸々加味した上で、何も付け加えずにそっとリツイートだけしておく、っていうのが僕にとっての妥当なところだったわけさ。意図を表明していなければ、どうとでも真意を後付けできるからね」
 
(´・ω・`)「さてと。他に質問は?」
 
( ^ω^)「ないお」
 
('A`)「俺も特には。まったく、それならそうと先に言ってくれればこっちも引かずにいられたのによ」
 
(´・ω・`)「うふふ。一種の予防線や照れ隠しと思ってくれればありがたいところだね。僕も確信が持てていたわけではないから」
 
('A`)「あ、じゃああれか、あの一目で女子高生だと見抜いたのも照れ隠しか何かか、さては適当にもっともらしいこと言って俺らをおちょくって遊んでたんだな」
 
( ^ω^)「そういやハッシュタグの中に#女子高生ってあったお。それを見てからの後付けに違いないお!」
 
(´・ω・`)「うふふ。そこらへんは想像にお任せするよ」
 
 
25
  
( ^ω^)「やっぱりそうだお!」
 
('A`)「まあそうだよな。そういやあのTwitterアカウントのプロフィール欄に高校情報も載ってたし、あの距離で一目見てどこの制服かなんてわかるわけねえよな」
 
( ^ω^)「おっおっ、すっかり騙されていたお!」
 
(´・ω・`)「うふふ」
 
( ^ω^)「よ~し、ここはデザートも食べちゃうお~」
 
('A`)「それはただ食べたいだけだろ。いい加減にしなさい」
 
( ^ω^)「どうもありがとうございましたお」
 
 
26
  
 そうしてデザートを食べ酩酊するまでアルコールを摂取した俺たちは、泥のようになりながらも何とか自分たちの足でその晩の宿まで歩いて帰ることに成功した。
 
 冷たい夜風が火照った頬に当たるのがなんとも心地よい。何やかんやとあったが、あの女の子が無事助かったというのは喜ばしいことだった。
 
 あの女の子。女子高生だ。そしてショボン。しょうがないやつである。適当なことを言っていたショボンの発言を何ともなしに思い返す。
 
('A`)「・・ん、待てよ」
 
 ショボンがあの娘を女子高生だと断定したタイミング。
 
('A`)「――」
 
 それはあの娘のTwitterアカウントを特定するより確実に前のことだった。なんせショボンは、一目見ただけでそれを言葉に出したのだ。
 
 あの、発信する情報の内容が確定するのを予防線や照れ隠しからか嫌がり、疑問が残るところへの明言を避ける、ショボンがだ。
 
 ブルッと体が大きく震える。
 
('A`)「・・寒いな、酔いが醒めちまったぜ」
 
 予防線を張るためというわけではないが、言い訳をするようにそう呟いて、俺は風呂に入ることにした。
 
 
 
糸冬