おれはとにかくナギさんの絵で話を書きたかったのだ

 どうも皆さん、おはこんばんちは。樹海です。今日はわたくしがブーン系界隈に戻ってこようと思ったあたりの話をします。ディス・イズ・ザ・ベリー・自分語り。この"the very 名詞"の表現は意外と訊かれることがあるので受験生は覚えておくように。

 

 

 実はラノブンピックの告知をどこかで見かけるまではブーン系界隈に戻ってくるつもりはまったくなくて、その頃はついったーのアカウント名も柴田尚弥という、『なろう』や『エブリスタ』でお話書く用に用意していたお名前でした。

 この名前で1年間くらい非ブーン系のお話を書いていたのですが、思うようにお小遣い稼ぎができなくて、これはそろそろ足を洗って、もっと本業の方を頑張って講演費なんかをいただくようにするか、クソ面倒くさいけど投資といわれるアレをはじめようかな~なんて考え軽く煮詰まっていたところ、ラノブンの告知を見たので「これも何かの縁じゃろう」とホイホイ乗っかることにしたのです。

 その頃考えていたのは「まあ1枚くらいはティンとくるイラストがあるだろうから何か書いて投げればいいや」ということと、「最悪逃亡しちゃえばいいし~☆」ということ、そして「ナギさんの絵がもし投下されるようなら、内容によらず必ずそれで何か書く」といったことでした。

 わたしら世代のブーン系作者(ほぼ死滅)は大多数が同意してくれると思うけど、おれにとって、ナギさんの絵というのはヴェルタースオリジナルのように特別な存在なわけですね。

 まあそんなことはどうでもよくて、イラストをNo.1から見ていって、すぐに気に入ったのは『昔話』で使った貞子とペニサスのイラストでした。ここ数年のおれはどっぷりNBAの魅力に憑りつかれていたため、「この子たちにバスケさせよ~^q^」くらいの安易な考えでお話を作りました。確か1週間くらいで書いたんじゃなかったかな。

「こりゃあ3-4本くらい書けそうじゃわい」

 なんて考えながら、予想外に大量に投下されていくイラストを眺めていると、例のあいつが目に飛び込んできました。

「はいこれ絶対描いたのナギさん!」

 って感じのツンの絵です。

 正直おれは悩みました。

「う~ん、ナギさんの描くツンはいいなぁ」とイラストを眺めながら、「でも」と同時に思ったのです。「でも、なんにも話は思いつかないなあ。どうしよう」

 このあたりの機微が自分でもよくわからないのですが、おれにとってこういったお題イラストというのは、おそらくちょうど良い大きさの引っかかりみたいなものが必要で、場面や状況を絵が説明しすぎていてもなんだか頭で話が膨らまないし、とっかかりがなさすぎても何も思いつかないのです。

「まあでも(たぶん)ナギさん絵だからなあ、書きたいなあ、というか書く」

 なんて、もしナギさんにこの記事を見られたら気分を害されそうな動機でとにかく書くことに決めました。いやこれ本当に失礼な態度だな。言い訳になるかわかりませんが、100パーセント他意はありません。

 それで、確かその前後に『僕の妻は感情がない』という漫画を読んでて、これが非常に面白かったため、こんな感じでアンドロイドものを書こうかなあと思いました。機械ってツンデレだよね。

「いやあでもロボットツンデレかわゆすみたいな内容を書くとしたら、どうやってもパクっちゃいそうだな。これっていんすぱいあ?」

 なんて心配しながらお話を考え、書いた結果、全然そんな感じにならなかったのでちょっぴり安心するやら驚くやらで大変でした。「かわいいあの娘の入浴介助! ドキドキしちゃう!」みたいな感じで萌え萌え作品を書こうと思っていたのにね。

 それはさておき、『呼ばれる』は結構書いてて楽しかったし、お話としても気に入っています。面白いよね。

 そしておれは考えたのです。この作品は、ナギさん絵がなければ絶対に書いていなくて、それも「ナギさん絵がきたら絶対それで書く」という断固たる決意があらかじめなければおそらく書いていなかっただろうなあ、と。

「これは面白いことだな」とおれは思いました。

 ひょっとしたら、用意されたイラストから好きなものを選んで好きな話を作って書くより、無理やりこれで書かなければならないという状況に自分を持っていって、そこからなんとか話をひねり出す、という作り方の方が、面白い作品ができるのかもしれません。

「本当にそうかしら?」と思います。しかし同時に「ありえることかもしれないなぁ」とも思うのです。

 これはゲームを縛りプレイするようなもので、縛りプレイのプレイ動画はその縛りが生み出す計算で作ることはできない面白さをしていることがままあります。

 そんなことを考えたおれは、例のエクセルシートを作成し、関数様に選んでもらった4枚のイラストを使って今お話を書いています。

「いやこれ無理だろ」とその4枚を見た瞬間は思ったものでしたが、今では書ける気がしています。

 この方式で今後いくつ書くかは決めていませんが、ひょっとしたら今も想像ができていないほど面白いことになっていくかもしれません。ス・・ンって感じで終わっていくかもしれないけれど。

 

 ただひとつだけ心配していることがあります。それはラノブンイラストの中に『3億円事件のモンタージュ』がいることです。あの発想は天才的で、はじめて見たときも爆笑したし、その後もあれを見るたび笑っちゃうんですけど、関数様の気分によってはあれを使ってお話作らないといけないんですよね。

 できるのか!?

「いや絶対無理だろ」とおれは現在思っているわけですが、いざ絶対書こうの気持ちであれを見たら、何か書けたりするんかな。

 いや、無理だろうな~あれはさすがに。ねえ。といったところで今日はおしまい。あじゅー。